婚活怪奇ファイル〜お食事編3〜「肉食になれないオトコ」
さて、この「銀狼婚活怪奇ファイル」も第三弾。
第一弾↓
第二弾↓
これまで
・何も食べないオトコ
・口から泡を飛ばすオトコ
を紹介してきましたが(ひどい…)今回は私が出会った「肉食になれないオトコ」です。
ではどうぞ〜
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2年くらい前のお話。
以前から微妙に知り合いだった「祐樹(仮名)」さんと初めて2人でお食事に行った。
シャレオツなニットを着ている
祐樹さんは40歳くらい、WEB系の企業で働いている明るい感じの男性であった。
一緒に食べたのはおいしい熟成肉。
そう、都会の大人がこぞって食べている熟成肉である!
肉好きを公言する人が男女ともに増えている昨今。
「肉バル」「肉酒場」「肉マイスター」「焼肉女子会」などさまざまなワードが乱立し世の肉ブームはとどまることを知らない。
モデルや女優は好きな食べ物を問われれば「お肉ー♡」と口を揃えて言い、
もはや「お肉大好き」と言っておけばなんとなくかわいく見えるところまで来ている。
嘘つけよチアシードとか食ってるんだろおおお
原宿不思議系モデルまで「星くず」とかではなく肉を食う
好物が「フルーツパフェ」「ナタデココ」「ティラミス」「ケンちゃんラーメン」である我々は、紛れもない昭和女。時代遅れの存在。。
そこのアナタ!カラオケでウォウウォウトゥナイト歌ってる場合じゃないわよ!
早くエバラ焼肉のたれ準備して!
日本人一億総肉食時代の到来よっ!
そして婚活師である我々こそ、もっと野獣になって肉を食さねばならない。
恋愛市場にも空前の肉ブームが到来しているのだ。
バーベキュー、壷漬けホルモン、ロティサリーチキン、シュラスコ、いきなりステーキ、などなど人を誘うにはうってつけのイベントやお店が人気を博し「男女入り混じってキャッキャウフフと肉を食べる会」が毎夜開かれている。
さらには肉を喰らう街コン「肉コン」、グループ出会い系アプリ「肉会」みたいなものもあったりと、肉を制するものは恋愛市場をも制すという事態に。
私はどうかと言うと「肉ならやっぱり鳥ササミだよね」という脂があまり得意でないタイプなのだが、こうなったら行くしかない!
そして食べに行った「熟成肉」は数十日または数ヶ月エイジングという製法で熟成させたお肉だ。
放置された生肉と見せかけて実は全然そんなことはなく、美味しさがギュッとつまっている。
30年以上放置された生肉である我々も、病みつきの美味しさを自ら作り出すしかない!
目指せ熟成肉!!
時には起こせよムーブメント!
これほど自らをドライエイジングしてしまった30女の心を打つ食べ物が未だかつてあっただろうか。
ということで当時話題になっていた熟成肉のお店に行ったのである。
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祐樹さんとの初めてのお食事はそこそこ盛り上がった。
祐樹「これ100日熟成だって!」
ナナコ「どういうこと?熟成肉ってどうやって作ってるの?」
祐樹「すごく美味しいねー!」
NIKU!NIKUだよ!
恐るべし熟成肉パワー。話がはずむ。
そうそう、お互いのことがよくわかっていないうちはこういうところでワイワイ言いながらご飯が良いんだよね。
渡部みたいにあんまりウンチク言われると辛いけど・・
これは単なる講習会
上機嫌でお酒を飲みおしゃべりしながら夢中で旨味ほとばしるお肉を頬張っていたところ、祐樹さんが急に黙ってしまった。
沈黙が続く。
ナナコ「(ん?急に黙ってどうしたのかしら?
私を見つめているのかしら? )」
急に黙るなんて、びっくりするじゃない!もう〜。
そう思って祐樹さんを見ると、なんと彼は
苦しんでいた。
ヒイイ
ナナコ「ゆ、祐樹さん?(え?何?どうしたの?!)」
祐樹「・・・!!」
祐樹さんは何か喉に詰まらせたのか顔を赤くして悶えている。
テーブルの上を指差し、ジェスチャーで何かを訴える。
ジタバタする40歳
ナナコ「え・・?肉が・・?喉に詰まった?」
勢い良く頷く。
熟成肉は弾力がありすぎて、水を飲んだくらいでは飲み込めない。
祐樹「ん が ぐ ぐ!!(ジタバタ)」
サザエさんのような声を発しながら暴れる祐樹さん。
みるみる顔が真っ青になっていく。
トラウマになる表情
ギャー!さーて来週のサザエさんは〜!?とか言ってる場合じゃない。
ヤバいぞ、この人死んじゃう。
ナナコ「あわわわ・・(掃除機、誰か掃除機持ってきてくださーい!!)」
落ち着けナナコ、掃除機で吸いだして九死に一生を得たのは、餅を詰まらせたじいさんだよ!?
(※餅を詰まらせたら掃除機ではなく救急車を呼びましょう)
すると顔色が土色になった祐樹さんが勢い良く立ち上がり、男子トイレに駆けていった。
俊敏に走り去る40歳
・・・
だ、大丈夫だろうか・・
彼は無事に肉を吐き出せたのか。トイレで倒れないだろうか。
非常に心配になる私。
婚活で大した仲でもない女性と食事中に、熟成赤身肉を喉に詰まらせて死亡って悲しすぎるわ。
私の鬼のような婚活は、ついに死亡者を出してしまうのか・・?
と、割とすぐに祐樹さんが席に戻ってきた!
ニコニコ顔である。
祐樹「あー!死ぬかと思った!」
ナナコ「わー大丈夫ですかー?(ええ、私もあなたが死ぬかと思いましたよ!!)」
祐樹「肉が固いから喉に詰まってさー、トイレに走ったらその勢いで飲み込めた☆」
NOMIKOMETA☆
・・・
飲み込めた☆
じゃねえよ何てへぺろしてんだよ。
ケロリとして肉をまた頬張る祐樹さんを、私はずっと不安な気持ち見ていた。
心配させるんじゃねー!
お前は老人か!ちゃんと噛め!ちゃんと嚥下しやがれ!
死と隣り合わせの状況を潜り抜けた男女の絆は強くなると言うが、我々の間には全く何も生まれなかった。
私の脳裏に残ったのは「肉を詰まらせて苦しむオトコ」の光景だけである。
フラッシュバック
それからしばらくの間、私は赤身肉を目の前にすると苦しんでいる男性の姿を思い出すようになってしまった。
《本日の学び》
若い頃と違って我々の嚥下能力は低下している。肉はよく噛もう。
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