今回は番外編「女子大生ナナコの冒険」お見合いパブに行った話をお送りします!
婚活と全く関係ないですが、もしご興味があれば。
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私が都内の大学に通う花の女子大生だった頃、仲の良い女友達がいました。
彼女の名はモエミ。
モエミはいわゆる「超絶モテ女」かつ異常とも言える「恋愛至上主義」の女の子でございました。
肉食女子大生
どのくらいモテたかというと、彼女と出会った男の2人に1人はモエミのことを好きになり、そして実際に彼女に告っていました。※誇張ナシ
彼女は男の趣味が変なので基本はフッていましたが、たまーに好みのオトコが現れるとコロっとお持ち帰りされたり。そんでもって夢中になってしまったり。とにかくいつも色恋沙汰が周りにある女の子でした。
今思ってもなかなか稀有な存在なので、改めてモエミがなぜあんなにモテたのか、分析してみました。
《激モテ女子大生8か条》メモ必須
・かわいい(クラスで3番くらい)
・人との距離が近い(キスする前くらい)
・ボディータッチが激しい
・強引(ここ行こうよ!これしようよ!が多い)
私のファーストキスは彼女です
・ノリが良い(飲み会の2次会・オールには必ず参加)
・笑いの沸点が低い(すぐハマって「アハハ!笑い死ぬ〜!」ってなる)
・惚れっぽい(「ねえねえあの人カッコ良くない?」が口癖)
本当に好みが変だった
・気まぐれ(ちょいちょい音信不通になる)
とにかく、男はみんな「モエミちゃんは俺に惚れている」って思うらしかった。そして無意識のうちに彼女に振り回されていた。
女子大生の諸君は大いに参考にしてくださいね。
え?できたら苦労しないって?
ヤれそうな女はいくらでもいますが、彼女はヤれそうというだけでなく男性を夢中にさせる何かを持っていたと思います。
対する私は田舎の女子校出身。同年代の男性と喋った経験もあまりなく、しかもオタクなので最も恋愛から遠いところにいる、お堅い女子大生でした。
ナナコ20歳。処女をこじらせてる田舎のヲタ女。
モエミ20歳。超絶モテ女。ちょっぴりヤリマン。
なぜ友達になったのか謎
こんな正反対な私たちですが、なぜかウマが合いまして。
いつも飲みやカラオケに行き、朝までマックやサイゼでダベるという大学生にありがちの無益な遊びをやっていたものです。
彼女は私をいろいろなところに連れて行ってくれたのですが、
(新宿歌舞伎町のコマ劇裏あたりとか渋谷道玄坂界隈とか、もしくは六本木のクラブとかもしくはヤリチンだらけの合コンとか。。)
そういう現場で私は『欲望にまみれる男女』に遭遇する経験をしたわけです。
今となってはよくそんな危険なことしたな・・という体験もあるのですが、当時は若かったので怖いものなしでした。
彼女の波乱万丈な恋愛模様はいつかご紹介するとして、今回は冒険譚の1幕、「お見合いパブ」に行った体験をここに記します。
※注意※
10年以上前の話なので今流行っている「お見合いバー」や「相席居酒屋」なんかとは全く違いますよー!
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あれは2人がハタチくらいの頃。
いつもの通り私たちは新宿のイタトマでジュース片手におしゃべりしておりました。
時間は14時。
モエミ「ねえナナ、お腹すかない?」
ナナコ「あー、空いたね。ここで何か食べる?」
するとモエミは謎の提案。
モエミ「あのね、タダでごはん食べられるところがあるんだよ!そこに行こうよ」
ナナコ「え!タダってどういうこと?」
・・怪しすぎる。
モエミ「そこに行こう!大丈夫だよ!私に任せて」
彼女に強引に手を引っ張られ、新宿歌舞伎町の近くの路地に入っていきます。
雑居ビルの入り口のところに怪しい黒服のお兄さんが立っていた。
モエミ「こんにちは〜!今って入れますか?」
お兄さん「お!こんにちは〜入れますよ。寄っていきますか?」
モエミ「はーい」
お兄さんに案内され雑居ビルに入っていく我々。その時私は店の看板をちらりと見ました。店の名前は『お見合いパブ フォーリンラブ(仮名)』
明らかに風俗店風
(おみあい・・パブ・・?)
ひっかかりを感じたものの、ビビる私を尻目にモエミはどんどん進み店に入っていく。どうやら何度か来ている店らしい。
店員「いらっしゃいませー!!」
!!
中はダンスホールのように広い。そしてかなり暗い。
マ・・マジで怖いんですけど・・
店員「こちらにお座りください」
モエミ「はーい!」
案内された席は暗い店内のなかで唯一明るく、スポットライトの当たるエリア。私たちはソファを背にして隣り合わせで座らせられました。
(なんだこれ、なんでここだけ明るいの?)
見るとその壁際は一列明るい席が並んでいた。
我ながら意味不明
さらに見渡すとどうやらこの店にいるお客さんは私たちだけのようだ。
座ると、メニューが置いてある。メニューの内容は普通のイタリアンレストラン。しかし値段が書いていない。
モエミ「コーラとカルパッチョ、あとカルボナーラお願いしま〜す!」
店員「承知しました」
モエミ「ナナも頼みなよ!」
ナナコ「え、えーと、、ジンジャエールとナポリタン・・でお願いします」
店員「承知しました」
普通にオーダーをした。なんだここは!普通のレストランではなさそうだが。
モエミ「これ、全部タダなんだよ〜!」
ナナコ「え!?」
モエミ「あとね、あそこにあるカラオケもタダ!歌おう歌おう」
ナナコ「え?え?」
モエミは『カラオケやってもいいですかぁ〜?』とスタッフに一声かけ、SPEEDの曲を入れる。
なんか知らんけど、マイクを渡されたから私も絵里子なのか寛子なのかになりきって歌うしかない。スポットライトの下でSPEEDのマイグラデュエーションを歌う女子大生2人。
現在30代前半〜中盤の女はまず全員歌えます
暗いところでじっと立って私たちを見ている店員さんたち。。
愛が芽生えたジュライッ
き、、気まずすぎる。
出てきた食事は安い居酒屋で出てくるレベルだったが、当時の我々にはかなりのごちそうだった。
モエミ「おいしいね〜♪」
ナナコ「うん。てかモエミ、さっき言ってたこれがタダってどういうこと?あとさ、このお店『お見合いパブ』ってなってたけど・・」
食べたら何かが終わる気がする
モエミ「あ!次の曲!歌うわ!」
響き渡るTKサウンド。globeのキャントストップフォーリンラブを歌い出すモエミ。
曲がはじまったら仕様がない、マークパンサー役をやる私。
キャンストッフォーリンラーブ
「道徳モナーイ規則モナーイ」にさしかかった時、店のドアが開いて男性が入ってきた!おいおい恥ずかしいじゃないか。
男性は私たちのほうではなく、どうやら向かい側の暗いところにも席があるらしくそこに案内されている。
(え?あの暗いところにも席がある・・?)
「そろそろ季節もキツくナール」と言いながらも向かい側の席が気になるナナコ。
またドアが開いた。ギャルっぽい女の子が2人。その子たちは私たちの隣の席に案内されて座った。
その後も時間を置いて男性が何人か入ってくる。男性は暗いエリアの席へ。
そのとき私は気付いた。
これは・・見られている?
暗闇からの熱い視線
よく見ると暗いところに座っている男性たちが、2人グローブをやっている私たちとギャルをじっと見つめている。
(この店は何?女子を鑑賞する店?)
疑問と恐怖でいっぱいである。そのとき、店員が何かを持ってモエミに近づく。
店員「1番のお客様がツーショット希望です」
メッセージカードのような紙をモエミに手渡した。
(ツーショット・・?)
モエミ「すいません、ちょっと都合が悪くて〜」
店員「かしこまりました」
スタッフは戻っていく。
モエミ「なんかね、あっちにいる男の人から2人で話したいっていうメッセージが来るんだけど、見てやばい感じだったら『都合が良くなくて〜』って言ってどんどん断っちゃっていいんだよ♪」
そう言ってカルボナーラをすするモエミ。
そういうことか。
ようやく事態が飲み込めた。
明るいところに座っている女性(タダ飲みタダ食い)
↓
それを暗いところから物色する男性(入場料あり)
↓
2人で話したい場合カードを送る(おそらく数千円かかる)
↓
OKな場合お話できる
てことね〜!
素人女性とお話するキャバクラみたいな。
そうかそうか。よくできたシステムだ・・
っておいモエミ!よくもこんなところに!!
こんにゃろ〜と思ったがもうナポリタンを思いっきり食べてしまっている私。
またまたモエミにカードが届いた。
モエミ「ちょっと都合が悪くて〜」
いいのか?そんなに断って。
すぐに3枚目のカードが届く
モエミ「ちょっと都合が・・」
店員「お客様、困ります。」
モエミ「え?」
店員「(小声で)あちらのお客様はお話をされに来ているものですから、何度かに一回はツーショットタイムに応じていただけないと、、当店としても困ります・・」
ほら〜!怒られたじゃないか!
モエミ「・・・はーい。じゃあ行きまーす。行ってくるね!ナナ!」
元気にモエミを指名した男性の元に向かって行った。さすが男を手玉にとる女、肝が座りまくっている。
そうこうしているうちになんと私の元にもカードが届いてしまった。なんと悪趣味な・・見ると結構な年齢のおじさん。
見てるよめっちゃ見てるよ
(えー、、やだなあー)
と思いながらも仕方がない。一飯の恩である。
ナナコ「はい。行きます。」
意を決してお父さんくらいの年齢の、恰幅の良いおっさんの横に座った。
おっさん「こんにちは〜大学生かな?」
ナナコ「こんにちは。そうです大学生です。」
・・やばいもう戻りたい。
やっぱ無理だ昼間っからお見合いパブなんかに来て、お金払って女子大生とおしゃべりするおじさんなんて嫌だ!なんか目がいやらしいし。
寄らないで!
でも店員さんには「15分だけ話してください。それを超えたら『時間なので』と言って戻ってきていただいて結構です。」と言われている。
・・15分の我慢だ。
おっさん「僕はね、飲食店をいくつか経営していて〜」
ナナコ「へえーそうなんですか」
おっさん「その中でも、焼肉が本当においしいんだよー。赤坂とかにもあって」
ナナコ「へえーそうなんですか」
おっさんはきっと「こいつはハズレだ」と思ったにちがいない。
隣のブースでワイワイ楽しそうにしゃべっているモエミ(恐るべしモエミのキャバ嬢かのようなスキル)とはちがい私は完全に能面の棒読み女だった。話が盛り上がらないどころではなく、ギリギリ相槌を打てるくらいの状況。
おっさん「焼肉食べに行こうよ〜」
ナナコ「やきにくですか・・」
もうおうむ返しするしかない。
おっさん「うん、ごちそうしてあげるよ〜」
そう言っておっさんはゴソゴソと財布を出した。財布には、はたから見えるくらい万札が入っている。
おっさんはそこから紙幣を何枚か抜き出し、私に見せてきた。
!!
5万
おっさん「どうかな?」
・・・
一瞬「5万の焼肉?」と思ったピュアなナナコ。
しかしさすがにこれは2秒で察した。
あーそう。
5万で買いますよってことね。
・・・
・・・おい。
「どうかな?」じゃねえだろ!ふざけんじゃねええ!!
こちとら彼氏がいたこともない生娘なんだよおおお
お前に操を捧げられるわけねえだろーが!!(知らんがな)
処女戦士スーパーアイアンメイデン
しかも5万て!!こちとら3億積まれてもお前のようなやつには身を預けませんぞおおぉ!ガンギレの表情を浮かべるナナコ。
と、そのとき運良く15分が経過。
ナナコ「戻ります。」
キレながら席に戻る。モエミは先に戻っていて、ニコニコと私を迎えた。
モエミ「どうだった〜?♪」
(おのれモエミお前のせいでこんな目に・・!!)
ナナコ「ちょっとモエミ!あのおじさんひどくてさ!」
5万で焼肉&売買を交渉された話をモエミに伝えた。
モエミ「え!まじで?」
そうだよ驚け。こーんな危ないところに私をつれてくるなんてお前ってやつは!
モエミ「高いじゃん!すごいよナナ!!さすがだよ!」
・・そこじゃないよね。
モエミ「私なんて2万って言われたよ!安くない?失礼なんだけど!あははは」
てかお前さんも言われたんかい!良く笑っていられるね。
タダ飯を綺麗に完食し、店を後にする私たち。なかなかの恐怖体験に足がすくむ。
・・タダより怖いものはないということがよくわかりました。
<<完>>
…いま思うと、おっさん達はそもそもそれ目的で来ているし、当時女の子のなかにもそういう目的の子が多かったに違いない。
無表情で愛想のない田舎娘にお金を払ってカードを送り続け、いざ交渉だと思って5万円見せたらキレられて、あっちはあっちでに理不尽に感じたかもしれない。
後日談ですが、数年後ニュースでそのお店の名前を見ました。その店は買春の温床になっているとして摘発されていました。。そりゃそうだ。
本日のBGM
<本日の学び>
タダで焼肉食べられるからって付いて行っちゃダメだぞ!