女子大生ナナコの冒険(4)ホストクラブ潜入の巻ー中編ー
こんばんは!
前回に引き続き「ホストクラブ潜入の巻」の中編であります。
<これまでのあらすじ>
時は西暦2000年頃。
世界は核の炎に包まれた。
海は枯れ、地は裂け、全てのホストが死滅したかのように見えた。
だが、ホストは死滅していなかった。
…北斗の拳風にしたかったのだが無理がありますね。(原哲夫・武論尊両先生失礼しました!)
ホスト達が歌舞伎町を牛耳っていた頃。
当時花の女子大生であったナナコは、大学に通いながらホストをやっている男友達「まっすー」から、自分が働くホストクラブに来て欲しいとお願いされた。
頼まれると嫌とは言えないナナコは、まっすーが働くホストクラブ「ジェネシス」にお客さんとして行くことになった!
言っておくがナナコは1円も払う気がないぞ!(てか全財産が1万円を切ってるぞ!)
ナナコは無事に帰れるのか?それともホストに喰い物にされてしまうのか?これいかに!?
前回のお話はこちら↓
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私の目の前に一人目のホストが現れた。
ホストA「こんにちわああ〜僕、セイジでっす☆」
SEIJI☆
そう言って彼は私の席につき名刺をくれた。おそらく下っ端のホストくんなのであろう。
ホストと言ったらあの看板に載っていたようなビジュアル系な感じの人を想像していたけど、微妙な感じの人もいるのね(失礼)
あの看板
セイジは、年齢22歳。学生などではなくこれ一本でやっていくつもりらしい。
セイジ「俺、歌舞伎町でナンバーワンになりたいんですよー!」
目指せ夜王
セイジは一発当ててやるぜー!という気概に満ち溢れていた。これぞ歌舞伎町ドリームですね。
ナナコ「(無理っぽいけど頑張れ・・!)」
ホストの世界に全く詳しくない初心者の私でも、セイジの夢が叶いそうにないことはなんとなくわかってしまった。ごめんよセイジ。
彼の夢の話を聞くこと数十分。ホストの入れ替わりタイムがやってきた。
するとセイジはどこかに消え、私の目の前には2人のメンズが現れた。
ホストB&ホストC「どーもどーも!こーんにちは〜!!」
漂う芸人感
ホストB「カズヤでーす!」
ホストC「ユウヤでーす!」
名刺をくれたカズヤ&ユウヤ。若い。ヘタしたら10代なんじゃないか?
怖くて聞けない。
カズヤ「名前聞いてもいい?え?ナナコちゃん?」
ユウヤ「ナナコちゃーんよろしく〜!ホストクラブ来るの初めて〜?」
ナナコ「は、はい・・」
他のホストは1人づつ周っているのになぜか彼らは2人で1人のお客さんについているようだ。
ナナコ「お2人は元々お友達同士なんですか?」
カズヤ「いやー違うんだけどねー」
ユウヤ「なんかお前ら似てるからコンビでやれって言われて 笑」
カズヤ「そうそう、俺たち実は双子なんだよね」
ユウヤ「そうそう、俺たち実は双子・・
ってオイーー!!」
バシッ
カズヤ&ユウヤ「ドッ 笑」
目つきがアレですが、私も一応笑っています。
愚直なノリツッコミである。芸人のようだ。
本当に2人のキャラは似ていた。顔までそっくりに見えてくる。カズヤとユウヤじゃなくて、カズヤとタツヤだったらよかったのにね。
すいませんすいませんやってみたかっただけです
彼らは自分たちが3枚目キャラであることがわかっていて、漫才コンビ風に徹しているのだろう。2人のボケ&ツッコミは高校の文化祭で披露されるような感じのものだったけど、十分に楽しかった。
ホストにはイケメンだけでなく、こういうお笑い系需要もあるんだな。女性の好みもさまざまですからね。
さて、またまたホストが交代する時間がやってきて、カズヤ&ユウヤは別の席に移動してしまった。
誰か来るかと思ったが前の席に誰も座らない。一回休みだろうか?
そう思った私の横に、御髪少なめなおじさんが立っていた。
・・・
なんだこのおじさんは?スタッフさんでしょうか?私に何か用なんだろうか。
ナナコ「・・・」
おじさん「・・・」
・・・変な沈黙の中、おじさんは名刺を取り出した。
おじさん「善文です」
商談か
ナナコ「!!」
アナタ、ホストなの!?
ついついデヴィ夫人風の突っ込みを入れてしまった。
全くホストに見えないんですけど!名刺を渡す姿も、どこかの会社の課長さんみたいじゃないか。
なぜ、なぜこのようなおじさんがホストを?
善文「年がいってるからびっくりしちゃいましたか?僕、今年で42歳です」
ナナコ「そ、そうですか!(見た目はお父さんみたいだけど、実際は大して歳じゃないな。と言っても42歳か・・)」
見た所、このホストクラブジェネシスには20代、最高齢でも30代前半の男性しかいないように見えた。義文は明らかに、ホスト達のなかで浮いていた。
もしかすると善文さんは、ベテランなんじゃないか?
実はホスト達の教育係をしているとか、もしくはこのホストクラブのオーナーとか。「ホスト」という職業を初めて日本に広めたとか。
そのくらいの年月と栄枯盛衰・盛者必衰のわびさびのようなものを、善文さんから感じた。
ナナコ「い、いつからこのお仕事をされているんですか?」
20年・・ぐらいだろうか・・
善文「ええと、
10月からですね」
ナナコ「・・え??」
善文「まだ2ヶ月くらいですかね、新人なんです」
そう言うと善文はハニかんで見せた。
テヘッ
ハニかんでる場合か!どう見ても新人には見えないぞ!!
善文「僕は見てのとおりかっこよくはないんですけど、しゃべりでカバーしますからねっ!」
ナナコ「は、はあ・・」
善文「なんてったって20年営業をやってきた人間ですから!」
ナナコ「前は営業の仕事をやってたんですか!」
善文「そう、毎日得意先回ってお話してたの。だから喋るのは得意!」
ナナコ「へえ〜〜・・」
よほどしゃべりに自信があるのか、ハードルを上げまくる善文氏。
にしても20年やってきた営業をやめて急にホストになるってすごすぎないか?
なんでホストになろうと思ったのか気になる。
そう思っていたとき、善文氏は身の上話を明かしてくれた。
義文「あとね、実は俺、、バツイチなんだ。」
ナナコ「へー!」
義文「子供の養育費も払ってるからさ!もう俺これで稼ぐしかないわけ!」
ナナコ「へー!」
・・て、マジですか…?
当時はホストになって成功したら一攫千金!なホストドリームがもてはやされた時代だった。
そのため「俺、マグロ漁師になる!」みたいな感覚で脱サラしてホストに挑戦する人もいたのかもしれない。
ホストドリーム参考資料
にしても義文!お前は養育費支払ってるのに、しかも42歳なのにホストを始めるとか!よく考えろ!
元奥さんの気持ちになるといたたまれない。
義文よ、いますぐ営業の仕事に戻れ。
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それから私は、数人のホスト達と会話をしていった。
基本的に彼らは女性を楽しませようと頑張ってトークしてくれるので、私のように初対面の男性が苦手な女でもどうにかみんなと会話することができた。
そうやって数人と会話していたが、一向にホストらしいホストに出会ってないような気がした。
要はイケメンと全然会っていないのだ。
結局、ホストクラブにおいてはイケメンはほんの一握りなのだと悟った。少々場末のホストクラブだったからさらにイロモノ(失礼)が多かったのかもしれない。
ただ、女性は何もみんなイケメンを求めているわけではなくさまざまな好みがあるので
「お笑い系」「枯れ系」など自分の得意分野を伸ばしていく彼らのキャラクター作りは良いやり方だと思う。
その時、
「ドン!」
大きな音を立てて、私の目の前に異様な威圧感を持ったオトコが座った。
>>続く
次回・・「ホストらしいホスト、現る!」
まーた見てくれよな!(悟空風)
《本日の学び》
イケメンじゃないという自負があるおまいらは「お笑い系」「枯れ系」など自分のタイプを見極めて戦うべし!